屋久島公認ガイド 山歩(SANPO)

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2019/06/28
 
島外 研修

島外遠征in大崩山

九州最後の秘境と言われる大崩山に行ってきました。

5月の大雨災害の仮復旧も終わり屋久島の道路も全線開通しまして、これから観光盛り上げましょうと言いたいのですが、梅雨の真っ只中の屋久島。
この時期は例年屋久島は登山者は少なくなってしまい、屋久島は夏まで一休みの時期になります。

ガイドの仕事は少ないですが、5.18の大雨災害の検証会やら会議やら事務仕事が続いてましたが、いいのか悪いのかこんなに長期のオフはなかなかないので、チャンスを伺ってずっと行きたかった「大崩山」に登ってきました。

大崩山は九州の宮崎県延岡市にあり、延岡市は旭化成の発祥の地でもあり、延岡に転勤で来られた本州の方がせっかくなのでと屋久島にも遊びに来てくださいます。そんなのもあって宮崎から来られたお客様で旭化成の関係者は結構いらっしゃいます。

で、大崩山は日本百名山には入っていませんが、九州の登山家さん憧れの山で「九州最後の秘境」とも言われ、その謳い文句に惹かれて念願の登山となりました。

今まで行きたいのになかなか行けなかったのは、登山道にある祝子川の渡渉点(川を渡る所)です。
ここはよく増水するらしく、天気が良くても前日の雨の影響で増水し、靴を脱いで渡っている写真やブログをよく見ました。
たたでさえ山は雨が降りやすいのに、梅雨のこの時期はなかなか遠征のタイミングが合わず逃してきましたが、今回はこちらの都合に合わせず、天気に合わせて思い立ったように出発しました。


大崩山登山の人気コースは「上祝子登山口〜わく塚〜坊主尾根ルート」で標準ペースで8〜10時間とのこと。
今回は2泊3日しか日程がないので登山は中日のみで、6時頃に登山開始。
30分ほど歩くと避難小屋の大崩山荘に30人は泊まれる大きさで、ちょっと離れた場所にトイレもあります。


大崩山荘から少し歩くと問題の祝子川の渡渉点に、橋が架かっていた痕跡がありましたが見事に流されたようです。
屋久島の縄文杉コースで言うと小杉谷集落跡にある安房川位の川幅でした。このサイズの川ならすぐ増水するでしょうね。
今回はぜんぜん水もなく、靴も濡らさずにすみました。


川を渡ると岩屋がいくつかあって渡れず帰れなっくなったのか、焚き火やビバークした痕跡がありました。
登山道は目印にテープが巻かれてはいますが、結構わかりずらいので注意が必要で、読図技術や登山アプリやGPSは必要と感じました。
あと、このルートは急勾配な沢や尾根も巻かずに、一直線!て感じになってますのでかなり疲れるコースです。

登山口から2時間程で見晴らしのいい「袖ダキ展望所」に到着。やっと念願の絶景が見れました。
これから登る「下わく塚」の岩峰。


今回は周遊コースなので帰りに通る「小積タキ」、モッチョム岳を思わせる見事な大岩。


袖タキ展望所から20分程歩くとさっき見えてた「下わく塚」へ。
下わく塚からの景色、中央奥にあるのがさっきいた袖タキ展望所。


中央左にあるのがこれから登る「中わく塚」のピーク。

拡大すると見事な垂直劣化


「中わく塚」のピークからの眺め、ここに登るのがちょっと難しかったです。
左がさっきいた「下わく塚」右が後半歩く「小積ダキ」。間の沢への絶壁はものすごかったです。


振り返ると、これから登る「上わく塚」が見えます。


下わく塚から中わく塚へ岩尾根づたいに行けましたが、上和久塚へは一度森の中を歩きました。
上わく塚からの眺め。


わく塚尾根を過ぎると山頂・坊主尾根の分岐がありますが、大崩山の山頂は景観がないらしく山頂に行かない登山者も多いとのこと。
私も今回は時間があまりないので山頂は次回のお楽しみにして坊主尾根へ。


山頂付近になると針葉樹ではなくブナの原生林、ブナは屋久島にはないので新鮮です。
分岐の写真もですが、標高が高くなるとあるはずの笹がみんな枯れてました。何年か前に花が咲いてしまったようです。
笹は数十年に一度花を咲かせ、花が咲くとみんな枯れちゃいます。


わく塚尾根で遊びすぎて時間がなくなってきたので山頂は行かず、リンドウの丘で食事休憩。
ここも絶景で人気スポットみたいです。


ここで今日初めて他の登山者さんに出会い、せっかくなので記念写真を撮ってもらいました。


左から歩いてきた「上わく塚」に「中わく塚」、「下わく塚」、袖ダキ展望所はだいぶ遠くになってしまいました。
写真の右隅に写っているのはこれから行く「小積ダキ」


小積ダキからの眺め、わく塚の見事な岩稜、よくこんな形になったもんだと惚れ惚れします。


よく見ると最初の頃にいた袖ダキ展望所に人が。




絶壁ポイントも終盤でようやく「ササユリ」がありました。
大崩山の花といえばササユリらしいのですが、増水しやすい梅雨時期に咲くので遠方の登山者はなかなか会えないそうです。


このルートは本当にハシゴやロープがいっぱいでした。




登山道整備のお手伝いをしているせいか、なぜここにハシゴをかける?迂回して登れるのでは?と疑問に思うほどハシゴとロープだらけでした。(アスレチックみたいで面白かったですが)
屋久島の登山道の作り方だと、大昔から山道は信仰のため祈るために山に登る、作業道として屋久杉を板にした平木を担ぎ下ろすために作られたのもなので、急斜面はジグザグのつづら折りに作ったり、回りこむように巻いて作りますが、大崩山の登山道は急勾配の尾根や沢も直登する冒険の登山のために作った登山道の印象が強かったです。その代わり管理も大変と思います。
大崩山の山岳信仰や登山道の歴史はまだ調べてないので、あくまで個人的な勝手な印象です。

その土地土地で山も違いますが、登山の歴史や登山道の作りなどもやっぱり違うんだなと思い、この違いがあるから他の山も登ってみたいと思うし、他の山との違いがわかると自分の住んでる土地の山の魅力もよりわかるんだと改めて勉強になりました。

そういえば昔読んだ何かの記事で、九州の登山家憧れの山で「九州最後の秘境」と呼ばれるのになぜ大崩山は日本百名山に入っていないのか?
大崩山は山岳信仰の対象にはされておらず、昔は登山者もほとんどおらず、日本百名山を選定した深田久弥氏は大崩山の存在を知らなっかたのでは?との考察の記事があったような。
まあ日本百名山じゃなくてもいい山はたくさんありますし、大崩山はまた何度も登りたい山には間違いないです。